2022/09/23「 足湯にペンギン」
立秋とは 名ばかりで
暦の上の 秋のはじまり
まだまだ汗ばむ 暑い日々
処暑になると 少しだけ
暑さは落ち着きはじめるけれど
まだまだ厳しい残暑の日
暑さ寒さも彼岸まで
彼岸は季節の分岐点
露がつき 霜がおり 寒くなる
寒くなると恋しくなる
旅先で出会った広い足湯
靴下脱ぎ散らかし冷えた足をつける
ほんわかほんわかあたたまる
目の前の湯気もハート形
湯気の向こうに誰かいる
短い足をつけている
湯気の向こうでペンギンが
短い足をつけている
氷で足が冷えたかな
短い足をつけている
湯気の向こうでペンギンが
短い足をつけている
足湯にペンギン おかしいよね
これは昨日のこと 夢のおはなし
これは昨日のこと 夢のおはなし
天埜めぐみ
2022/09/16「 真ん中は青い空」
台風が来ると言う 大きくて強いヤバい
910ヘクトパスカル オレのお腹のお肉は減ると助かる
大きな台風が来ると暖めた親鳥が騒ぐ
おかげで街は交通渋滞食料品売り場 密になる
減ると助かる人達が これぞとばかりに買い溜める
暖めすぎた台風の卵
大きくなり過ぎ 元気になり過ぎ
さあ大変 減ると助かる人の欲が渦巻く
暖めすぎた台風の卵
これからどんどん 育つと言ってる
さあ大変 減ると助かる 人は気づくかなくては!
〈Refrain〉 真ん中は青い空 真ん中は青い空
真ん中は青い空 真ん中は青い空
この星を暖めている欲の渦巻きの真ん中は 灰色
木村菜緒
2022/09/09 「今日のおやつ何?」
「ただいま」のあと 必ず君は言う
「今日のおやつ何?」×2
「楽しみにしててね」
今日もこの言葉ではぐらかす
アイスクリームが食べたいという君
そうだよね、食べたいよね 食べたいよね
また違う子が 汗ビッショリで聞く
「今日のおやつ何?」×3
「何かな?何かな?」
この言葉で はぐらかす
かき氷が食べたいという君
先生もね 、食べたいのよ 食べたいのよ
だけど時計の針は3時前
今のあいだに宿題してくれないかな
そう思いながらおやつの準備をしている
「ただいまー」「おかえりー」
「あつーい」「暑かったでしょ」
「おやつ何」「おやつ何」「おやつ何」
「今日のおやつ何?」アイスクリーム!
「今日のおやつ何?」ポテトチップ!
「今日のおやつ何?」パンケーキ!
「今日のおやつ何?」バナナ!
「今日のおやつ何?」
天埜めぐみ
2022/09/02 「あの日あの時」
夏になると思い出す
黄色い日傘をさした母
木の持ち手が丸かった
雨が降ると思い出す
大きな傘をさした父
木の持ち手は犬の顔
脱ぎ散らかしたビーチサンダル
隅に置かれた蚊取り線香
今では 今では 懐かしい匂い
下駄箱の上の金魚鉢には
赤いリュウキン
黒いデメキン
ひらひら ひらひら
いつまでもみてた
母の 日傘の思い出が
いろんなものを連れてきた
庭には大きなひまわり
見上げるほどのひまわり
母の 日傘の思い出が
いろんなものを連れてきた
できるものなら再生したい
幼かったあの日あの時
あの日に帰りたい
あの日に帰りたい
あの日に帰りたい
あの日に帰りたい
天埜めぐみ